認知症って、本当に不思議な病気
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水曜日、私が電話を掛けると、「一銭もお金がなくて恥ずかしい思いをした。」と○ヨさん。
お金は前日渡してきたばかりですから、一銭もお金がないなんて有り得ない事。
町会費の集金に来たのにお金がないから恥ずかしい思いをした、と言うのが○ヨさんの言い分です。
確かに、そろそろ今年度の町会費を支払う時期ですが、本当に集金に来たのでしょうか。
後で、町会長をしているご近所さんに連絡することにしました。
その前に、○ヨさんにいつもの電話を入れておきましょう。
数時間前、私が電話をしたので、すでに帰宅している夫から掛けてもらうことにしました。
○ヨ:はい。
夫 :俺。どう?調子は。
○ヨ:ちょっとね、胸のね、おっぱいの下がちょっと痛い。
夫 :そう。もう、ご飯は食べたの?
○ヨ:うん。食べた。
夫 :じゃ、お金は要らないよね?あったの?お金は。
○ヨ:お金はね、ちょっとね、へそくりがあった。
夫 :へそくりじゃないでしょ?おかあちゃん。
それ、昨日○○子が渡して来たお金でしょ?
○ヨ:ああ、使ってないんだ。財布見ないとわかんない。
使ってないけど、あるの食べてたから。
夫 :恥ずかしい思いしたって、何?おかあちゃん。
○ヨ:もう・・・。
夫 :もう、忘れちゃった?
○ヨ:頭、おかしいんだ。
夫 :うん。そうだよ~。ね、頑張ってやってもらわないと困るよ。
○ヨ:はい。
夫 :お財布はあったの?
○ヨ:ない。
夫 :ないの?
○ヨ:うん。小さい財布がね。大きいのはね、ちょっとあった。
夫 :そこにお金入ってるのかな?ちょっと見てください。
○ヨ:お金?
夫 :うん。いくらあるのか見てください。
○ヨ:はい。ちょっと待ってね。
夫 :はい。
○ヨ:もしもし。まだ2枚もある。
夫 :ふ~ん。良かったね~。
昨日、○○子が行って渡したんだから、当たり前でしょう?
○ヨ:なんか、買ってきてくれたからね。
夫 :うん。○○子がね。お金も置いてあったでしょ?
○ヨ:お金、あるよ。
夫 :○○子がテレビの下に置いてったんだよね?そこから取ったんでしょ?
○ヨ:そう。
夫 :○○子が帰ると、すぐ取ったんでしょ?
○ヨ:うん。使ってない。
夫 :わかったよ。じゃ、頑張ってやってください。
○ヨ:はい。
夫 :おかあちゃん、お金がなくなると調子が悪いって言うんだよ。
○ヨ:はい。わかった。あんまり迷惑掛けないようにして頑張ります。
夫 :うん。頑張って下さい。
○ヨ:はい。
夫 :じゃ、また明日ね。
○ヨ:はい。ありがとね。○○子にもよろしくね。
夫 :はい。じゃあね。
結局、夫には恥ずかしい思いをしたという事については何も言いませんでしたね。
でも、探してもないと言っていたお金はちゃんとお財布に入っているようです。
○ヨさんと夫との電話が終わってから、私は斜向かいのAさんに電話を入れました。
A:はい。
私:もしもし。夜分に申し訳ありません。○倉の嫁ですけど。
A:ああ、お久し振りです。
私:あの、今年度の町会費の集金なんですけど、もう始まってますか?
A:いえ、町会費の集金は連休が終わってからになります。
私:そうですか。
義母が「集金に来たのにお金がなくて恥ずかしい思いした。」って言うものですから。
A:あら、そうなの?集金はまだ回ってないですよ。
私:そうですか。払えなくて集金の方にご迷惑お掛けしたのかと心配になりまして。
A:集金はまだだから大丈夫ですよ。連休が終わってからになると思います。
私:それで、今度行った時にAさんに町会費をお預けしてもよろしいでしょうか?
義母に渡しても、それをどこに置いたか、すぐに忘れてしまうので・・・。
A:そうなの?いいですよ。ウチでお預かりして、班長さんに渡しておきますから。
領収書は班長さんに渡した時に出るので、後からでいいですか?
私:はい。領収書はいつでもいいです。
町会費は1年分で2400円でよかったでしょうか?
A:そうです。あと、募金のお金、300円があるんですけど。
私:わかりました。じゃ、町会費と募金の分で、2700円お預けすればいいですね?
A:そうですね。
お義母さん、最近、元気ですか?私、昼間働いて留守にしてるからあまり会わなくて。
私:ええ、身体の方は相変わらず元気です。
ただ、物忘れが大分ひどくなってて、自分のした事、すぐに忘れちゃうんです。
A:そう。それに、妄想がひどいみたいですね。
私:ええ、そうなんですよ。
物がみつからないとすぐに私の娘が盗ったって言われちゃって・・・。
A:そうなんだぁ。それはイヤねぇ。
私:でも、なくなった物は義母が探し出せないだけで、すぐにみつかりますからね。
それじゃ、町会費、次回お届けしますので、ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
A:はい。わかりました。
私:じゃ、失礼いたします。
やっぱり、「町会費を払えなくて恥ずかしい思いをした」というのは○ヨさんの作話でしたね。
新しい記憶を残す機能は日に日に衰えても、その代わりに、自分に都合の良い話を作る事は出来る。
認知症って、本当に不思議な病気ですね。
次回、○ヨさん宅訪問の時に、Aさんのところに町会費と募金分を届けることにしましょう。
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