「お金、貰ってないよ。」
こんばんは。
ご訪問ありがとうございます。
王子を通り過ぎた頃に、私の携帯に○ヨさんからの電話です。
私 :はい、もしもし。どうしたの?
○ヨ:どうしたの?って、お金、置いてってくれなかったじゃない。
私 :えっ!?お金は帰る前にちゃんと渡したでしょう?
○ヨ:貰ってないよ。
慌ててアンタ達を追いかけたんだけど、もう車が出ちゃった後だったのよ。
私 :ちゃんと渡したんだから、よく探してみれば、出て来ますよ。
よく探してみてね。じゃ。
ちゃんと渡して来たのだから、よく探してみれば、絶対にどこかから出て来るはずです。
運転しながら、電話の会話を聴いていた夫が、私に言いました。
「もしかしたら、渡し忘れたのかも知れないから、お前の荷物も探してみたら?」
冗談じゃありません。私はちゃんと渡して来たのです。
それを受け取った○ヨさんは、その場で中身を確認したんですから。
私に自分の荷物を探せ、と言った夫に、すごく腹が立ちました。
苛立ちながら、取りあえず、あるはずのない生活費の入った封筒を探してみます。
やっぱり、私の荷物の中には、ありません。
そりゃ、当然ですよ、絶対に渡して来たんですから。
「お金を渡す前に、あなたが家から出ちゃうからいけないのよ。」と夫に言いました。
でも、電話を切って2分後、また○ヨさんからの電話です。
私 :あったの?
○ヨ:ないよ。だって、貰ってないんだから、ある筈がない。
私 :帰る前にちゃんと渡したでしょう?
お義母さん、渡された封筒の中身を確認したじゃない。
もう、忘れちゃったんですか?
○ヨ:なんでそんな嘘つくの?貰ってないから、探してもないんでしょ?
私 :とにかく、自分がしまいそうなところをよく探してみて下さい。
じゃ、電話、切りますよ。
絶対に渡したのだから、探せば必ず見つかる筈、とは思いましたが
「どうせ、しまった所を忘れちゃったんでしょうから、私たちが探すしかないよね。」
「どこかでUターンしてくれる?」と夫に頼みました。
夫はすぐにUターンし、また、○ヨさん宅に引き返しました。
○ヨさんの家に着いて、「みつかった?」と訊くと、「だって、貰ってないもん。」
「じゃ、悪いけど、お義母さんがしまいそうな所、探させてもらいますよ。」
「貰ってないんだから、ある訳ないのよ。どこでも探してちょうだい。」と○ヨさん。
「もし出てきたらどうするの?○○子が渡さないで帰る訳ないんだから。」と夫。
「いや、絶対に貰ってない。」と、相変わらず、強気の○ヨさんです。
○ヨさんがいつもしまっている引き出しや、持ち歩いているバッグの中、
テーブルの上に置いてある物の下、色々と探してみましたが見つかりません。
ところが、夫が○ヨさんがいつも座っている椅子の上の座布団をまくってみると、
座布団の下から、さっき渡した封筒が出て来たではありませんか。
「おかあちゃん、これ、何よ?」と夫が○ヨさんに言いました。
「あれ?なんでそんな所にあるんだろう・・・。」と○ヨさん。
「本当に勘弁してよぉ。自分でここにしまったんでしょう?」
「おかしいなぁ・・・。でも、ごめん、本当に面倒掛けてごめん。」と○ヨさん。
まぁ、お金は無事に出て来て、私への疑惑も晴れた訳だし、良しとしますか。
「お義母さん、私達を見送る時に、きっと無意識に座布団の下にしまったのね。」
「じゃ、このお金、いつもしまっておく場所にしまっておくからね。」
私はそう言って、○ヨさんがいつもしまっておく引き出しに封筒をしまいました。
「じゃ、帰るからね。」と、夫と二人で再び自宅に向かいました。
午後4時半に自宅に到着し、夫はトイレだけ済ませ、また遊びに出掛けました。
午後5時15分、固定電話に○ヨさんからの着信です。
私 :はい、もしもし。
○ヨ:・・・・・・。ガチャン。
あれあれ?また、無言電話ですか?まぁ、いいや、放っておきましょう。
午後6時11分、今度は私の携帯に、○ヨさんからの着信です。
私 :はい、もしもし。(敢えて、さっきの無言電話の事には触れませんでした。)
○ヨ:あ、○○子?お金、あったのよ。それを知らせようと思って。
(あったのよ、って、私たちが行って、探したから出て来たんでしたよね?)
私 :そうね。あって良かったわ。
○ヨ:今度、いつ来る?
私 :来週の金曜日よ。
○ヨ:なんだか、○○子の声が聞きたくなって、電話したのよ。
ああ、良かった。○○子の声が聞けて。
私 :そう?じゃ、また来週行くからね。
○ヨ:うん。ありがとね。私にはもう○○子とおとうさんしか居ないもんねぇ。
ホント、ありがとね。じゃ、またね。
私 :はい、じゃあね。
○ヨさんは、夫と私が今日行った事、覚えているのかな?それも疑問です。
だって、数分前に自分でサッとお金の入った封筒をしまった事も思い出せず、
封筒が見つからないと、貰ってないからだって、貰った事も忘れちゃうんですからね。
最後まで読んで下さってありがとうございます。