既に呆けてしまった人は・・・
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朝7時30分、○ヨさんの携帯に電話を入れました。
10回コールしても出ないので、諦めて切ると、すぐに固定電話に○ヨさんからの着信です。
「あ、もしもし。電話してきた?」
ええ、しましたよ。
「新聞を取りに玄関の外に出たら、電話がなってたから・・・」
そうですか。で、生活費の入った封筒は見つかりましたか?
「いいや、見つからないよ。だって、アンタから貰ったのはパーマ代だけだったから。」
今日は○っちゃんも仕事がないので、もう少ししたらそちらに向かいますから。
「うん。わかった。悪いね。」
○ヨさんは、はなから生活費は渡されていないと決めつけているので
多分、昨日は生活費の入った封筒は探してはいないのだろうと思います。
そして、今日私達が行くのは、あらためて生活費を渡しに行くのだと思っているのでしょう。
夫と二人で8時過ぎに家を出て、10時半過ぎには○ヨさん宅に到着しました。
玄関を開けた○ヨさんは、足を引きずり、いかにも痛そうな素振りです。
リビングに入り、夫が○ヨさんに質問をします。
夫 :それで、生活費の入った封筒はまだ見つからないの?
○ヨ:うん、見つからないよ。
夫 :じゃ、「お小遣い」って書いた封筒は、どこにあったのよ?
○ヨ:それはね、いつも持って歩く、このバッグの中に入ってた。
夫 :生活費の封筒、自分でどこかにしまって、忘れちゃったんじゃないの?
○ヨ:そんな事ないよ。どこ探したってないんだから。私はまだそんなに呆けてないよ。
夫 :もう、おかあちゃんは十分に呆けてるの! 本当にちゃんと探したの?
○ヨ:あっちこっち探したけど、ない。だから、○○子が生活費だけ置いて行かなかったんだってば!
いくらそんな話をしていても仕方がありません。
私が○ヨさんに渡して帰ったのは確かなのですから、探せばきっと見つかるはずです。
私 :お義母さん、悪いけど、私、探させて貰っていいですか?
○ヨ:いいよ。どこでも探してちょうだい。私は貰ってないんだから、出て来る筈がないんだから。
○ヨさんは、もう自分で探す気持ちは全くないみたいでした。
5分くらい、探したでしょうか・・・。
そして、出て来る筈のない?4月17日から4月23日までの日付の入った封筒を発見しました。
それらの封筒は、以前に渡して来た空の封筒を束ねてしまってあった、引き出しの中でした。
空の封筒の下に、小さめの風呂敷が敷いてあり、その風呂敷の下に、今週の生活費が・・・。
私 :ここにありますけど・・・。
○ヨ:(顔色が変わりました)・・・。ごめん。そこも探したつもりだったんだけどねぇ・・・。
夫 :だから、○○子がそれを渡さないで帰るなんて事は絶対にないって言ったでしょ?
○ヨ:そこもちゃんと探したんだけどねぇ・・・。
夫 :○○子は、いつも、前の日に封筒に入れて準備して、毎週ここに運んでくれてるんだよ。
おかあちゃんの事を一番心配して、色んな事をしてくれてるのは○○子なんだよ。
だから、何でもかんでも、悪いのは○○子って言ってるんじゃないよ。
○ヨ:わかってるよ。
(本当にわかってはいないでしょう。わかっているつもりなのは、多分、今だけですね。)(^-^;
ああ、とにかく、探し物は見つかって一安心です。
2万円入りの「お小遣い」を貰えた事が嬉しくて、慌てて「お小遣い」の封筒はバッグの中に、
生活費の封筒は引き出しの中にしまって、私を追いかけて来たのでしょう。
だから、慌てて生活費の封筒をしまった事も、しまった場所も思い出せない。
しまった事自体を思い出せないから、貰ってないって事になっちゃったんですね。
次回からは、封筒を渡し、受け取りサインを貰い、封筒をしまうところまで見届けなければ。
そうすれば、しまった事を忘れたとしても、あそこにしまったよ、と教える事も出来ますからね。
まだ呆けかけの人は「あれ?自分は呆けちゃったのかな?」と思う事もあるのでしょうが、
既に呆けてしまった人は、「自分が呆けたかも?」なんて、考える事すらないのかも知れませんね。
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